劇場『ゴヤの名画と優しい泥棒』
受信料と言えばNHKですが(?)、イギリスにも似たようなのがあったのね。そしてやっぱり揉めているらしい(笑)(笑えません)。政治に文句を言いたい気持ちはそりゃ分かるけど、ケンプトンさんみたいな行動派は「癖が強いおじさん」とか言われちゃうワケですよ。まして仕事もろくに続かないのに理想ばかり語ってパートナーに負担をかけてたら、それは良い選択をしている生き方とは言えませんね。息子の信頼は篤いようですけども。というかそれだけが救いです。見方を変えると悲劇なんだけど。。。
今作、事実に基づいたお話だということで、つまりそういう家庭が実際に存在したということなんですね。ほっこり解決したから良かったものの、、、ドロシーの心情を想像しただけで逃げ出したくなりますわ。ヘレン・ミレンさんの表現力に改めて感じ入りましたね。
ともあれ、ジム・ブロードベンドさんのキャラクターあってこそですね。この人ほんとなんだろう愛くるしいっていうかめっちゃかわいい。法廷の掛け合いが面白すぎて裁判官の人が気の毒になるレベル。おしゃべりが過ぎるところは確かにヤバいけど(笑) 仕事の休憩時間にダベるくらいの付き合いだったら最高の友人ですよね(笑) 言いたいこと言って仕事をクビになるっていうのは・・私も目の当たりにしたことがあるけど、傍目にも良い気はしないですよね。“言いたいこと”が単純に迷惑行為につながったのなら、まぁ、仕方ないかなぁって話だけど、ケンプトンさんの場合は時代のせいもあったかな。。。
今なら正当な意見として聞き入れられることだけど、過去には無視されて当然だったなんての、たくさんありますからね。やっても無駄だとか、恥ずかしいとか、いろいろ言われても、正しいと信じることに突き進むというのは、実は大変なんですよね・・・ほんとえらいよケンプトンさん。正しいことは、いつかきっと正しく評価されるようになる。そう信じることはいつの時代にも必要なことです。
『ダンケルク』以来のフィオン・ホワイトヘッドくんは息子というより孫?ていうくらい若いよねぇ・・若いからこそ、かつ、あのケンプトンさんの血を引いているからこそ突拍子もないことをやらかしたんだね。っていう説得力はある。めっちゃある。あるのはわかったから、ちゃんと定職についた方がいい・・・・・・・いやぁどうしても母親目線になっちゃうってばよ〜(汗
過去にあった不幸をずっと引きずっているというサブストーリーもよかった。悲しみに対する向き合い方は人それぞれだけれども、家族であれば、ちゃんと共有した方がいろいろうまくいくだろうなぁというのは分かる。家族によって状況によっていろいろだから一概に言えることは何もないんだけど。悲しみに直面しない人生なんて無いわけで、どうにかしてそういう事態をも乗り越えて生きていかなきゃなんないワケですよ。発散するにしろ封印するにしろ、いずれにしても留まってはいられない。進んでいかなきゃいけないのよね。
- 2020年イギリス
- 原題The Duke
- 監督ロジャー・ミッシェル
- 脚本リチャード・ビーン、クライヴ・コールマン
- 原作
- 出演ジム・ブロードベント、ヘレン・ミレン、フィオン・ホワイトヘッド、アンナ・マックスウェル・マーティン、マシュー・グード、ジャック・バンデイラ、エイミー・ケリー、シャーロット・スペンサー
- 声の出演
- 制限