劇場『すばらしき世界』

ゆれる』で、この監督サンはすごいと思ってたんですよね。まぁ他の作品はちゃんと追えてないんですけども・・なんだか重たそうなのばっかりで(汗) いや〜今作もなかなか重いです。ちょいちょい刺さって、それぞれほんのりツラい。

最後の最後に、タイトルがスッと出てくるんですよ。なにしろ切ない。切ないんじゃよ。このようにして生きてきた人と関わってきた人たちの物語を見せて、その上で、これが「すばらしき世界」だと言い張るのだ。そんな人生であっても、この世界は素晴らしい、生きる価値がある。ということか。そうか。

あれを見て見ぬふりするくらいなら死んだ方がマシ、とか、薄皮一枚下の彼は思ってただろうなぁ。たくさんの善意に支えられてようやくたどり着く場所は、それまで彼らを見て見ぬふりしながら生きてきた人たちの送る「普通の生活」だった・・・血圧も上がるってもんです。

手の届く範囲ですら、救うのって大変よ。見える範囲まで気にしてたらもたないよ。どこかで線引いて諦めないとねぇ、心苦しいけど。つーかスーパーマンとかバットマンとかスパイダーマンとか仮面ライダーとかが悩む類のアレですよね。正義の人には違いない。

それにつけてもまさみの鬼畜っぷりよ。御御足といいノースリーブといい手のアレといい、そりゃあ大賀くんだって振り回されちゃいます。というか振り回されて然るべき役柄だったので仕方ないですけどね。すばらしく適役でした。ヘタレ風なキャラだけどスタイル良いのよね何気に。どっかで見たけど「大賀が脇な作品はハズレなしと言える」って確かに!って思うわ。

役所サンに関しては「そりゃ役所サンなんだから間違いないでしょう」って思うしかないし実際間違いないんだから良いんですけど、いつ見ても顔でかいですね。じゃなくて、ちゃんと一人の人間が透けて見えるのすごいですよね。
  • 2021年日本
  • 原題
  • 監督西川美和
  • 脚本西川美和
  • 原作(原案)佐木隆三 『身分帳』
  • 出演役所広司、仲野太賀、六角精児、北村有起哉、白竜、キムラ緑子、長澤まさみ、安田成美、梶芽衣子、橋爪功
  • 声の出演
  • 制限G

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