劇場『ゆれる』

監督さんが夢で見た異様な光景を原案としたお話だそうなんですが、女性が男兄弟の関係を描くとゆーのは驚いていいのかな。アタシ女だからいいか。驚きました。まぁこの場合はあんまり性別に係わらない気持ちな気がするから、アリなのか。そうか。とにかく、要所要所で見せる心の動きが毎回毎回心にずっぷり刺さって大変でした。アタシはオダギリジョーはちっとも好きじゃないし(イイ男だとも思ってないし)、演技もよくわかんないんだけど、香川さんはすげーと思った。あの背中! あの表情! 橋の上での“数パターンの回想シーン”も、何回目のも全部本物だから参った。「ゑ? どっちがホントのこと言ってるの?」「許すの?許さないの?」「キレてるの?キレてないの?」と、終始揺さぶられっぱなしです。最後まで一瞬たりとも気が抜けませんでした。しかも最終的な結末は観客任せ。観終わるとグッタリ疲れてた(褒め言葉)w ところで兄と弟のこーいった関係って、大概「自由奔放・遊び上手・楽観的・ちょいワルな弟」と、「生真面目・独身・堅実派・誰からも“いい人”って言われる兄」のパターンが多いよねーとか思ったんですが。デイヴィッド・モースとヴィゴ・モーテンセンの・・・えーっと『インディアン・ランナー』、あれも弟が放蕩者でした。兄は結婚してたけども。何故でしょう。やっぱり長男は家に残って継がなきゃなんなかったり、小さい頃から「しっかり弟の面倒をみるんですよ」って躾けられてるから、でしょーか。田舎を飛び出そうが留まろうが、それなりの人生だと思うけどな。隣の芝生は青いってやつなんかな。気の持ちようだよな。



それにしても兄ちゃんの、最後まで言わなかったあの気持ち。やっぱりどんなに引け目を感じている相手であっても、弟には負けたくないというのが兄であろう。どんなにヘタレでも男であるからして、女を寝取られたからとなれば(そもそもが付き合ってすらいなかったというのは置いといて)、ただ彼女に拒絶されたからというのと比べれば“カッとなった”度合いも格段に違うであろう。兄だからこそ、言わなかった。そのプライドこそが兄である唯一の証であり、故に切ない。
ところで最後のシーン、兄は駅に向かうバスに乗ろうとしてたっぽいけど、弟に気付いて笑みを漏らす(スローモーション?)。が、「憤怒の表情になったらどうしよう;;」って思ってたのはココだけの秘密です。もっともそこで微笑んだからといってその後が弟の望む方向へ話が行ったとも限らないワケで、そもそも兄が駅からドコへ行こうとしてたのか気にならないワケはないし、もしかしてとーきょーに行って弟に会いに行こうとしてたのかもだし、そーするとガソリンスタンドどうすんの?パパとバイト君は放置プレイ?やっぱり兄ちゃんは元の優しい兄ちゃんじゃなくなっちゃったの?なんて。妄想ひろがりんぐ(;^ω^)
  • 2006年日本
  • 原題
  • 監督西川美和
  • 脚本西川美和
  • 原作
  • 出演オダギリジョー、香川照之、伊武雅刀、新井浩文、真木よう子、木村祐一、ピエール瀧、田山涼成、河原さぶ、キタキマユ、田口トモロヲ、蟹江敬三
  • 声の出演
  • 制限

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