DVD『バーニー/みんなが愛した殺人者』

ジャックブラックが演じちゃうからふざけてるように見えちゃうけど、真面目に難しい話ですよね。邦画のサブタイトルも微妙にズレてる。これこそ「みんなに愛されていたバーニーは如何にして殺人者となってしまったか」的な意味じゃないとミスリードだし、実際にこのタイトルを見た息子14歳は「殺人者を愛するなんて意味わかんない」と言ってましたからね。ってかGEOで「コメディ」のジャンルにありましたよね。主演:ジャックブラック だからってコメディとは限らないんだよ!ポスターデザインもイマイチというか、案の定本国と日本向けのものを比べるとぜんぜん雰囲気が違うもんねぇ。ぜひggってみて。

というワケで、ちゃんと切ないお話なんですよ。全編ジャックブラック推しだからどうしてもコメディに見えちゃうのは、確かにどうしようもないっていうか、ジャックブラックが動いてしゃべってるだけで面白いので、もう本当にどうしようもないんだけど。でもやってることはちゃんと真面目ですよ。そもそもジャックブラックって器用ですもんね、歌だって真面目に歌えば?うまいんだし。うん、最後まで観ても私の中のジャックブラックは依然『よく跳ねるデブ』『歌って踊れるデブ』部門の最高峰なんだけど、でも今作はちゃんと心がツラい話なんですよ。

私はまだ老人介護を経験していないけど、目前に差し迫っている(かもしれない)状況です。そして当該老人は偏屈で自己中で悪口雑言も平気なタイプであり、マージョリーとそう変わらない。金持ちじゃないだけだ。「愛があれば乗り切れる」なんて言うのは純粋に無責任だと思いますね。あの愛の塊たるバーニーでさえブチギレたというのに、既に家族愛?なにそれおいしいの?状態の私には3日間も保てばいい方だろうよ、くらいしか思えません。ええまったく。無論、冷凍庫なんぞに押し込めちゃったりしたら路頭に迷うのは息子14歳なので、やりませんけど。

いいかい?コレはそういう話につながる作品なんだよ。みんなジャックブラックの先入観に惑わされちゃダメだ。そして血も涙もなさそうなマシューマコノヒーも間違っていない。今作のバーニーの物語をずっと観ていたらバーニーの味方をしたくなるのは明白じゃないですかもう。だからこそ、ダニーの行動に対してもフェアな見方をしなきゃいけない。どんだけ横暴で暴言吐きまくり周りの人間を傷つけまくって心を壊し回っていたとしても、やっちゃったらダメなんだ。みんながみんな、あいつなんて居ない方が良いと思っていたとしても。気持ちは割り切れないけど、法ってのは割り切るもんなんだ。ほんとつらい。

私だってこんなつらい話だなんて知らずに観たんですよ。なにしろジャックブラックですもん。それがKONOZAMAですよ。現実逃避したくて映画観てるのに現実を嫌というほど突きつけられまくってごらんなさいよほんと、つらいとしか言いようがないっつうの。
  • 2011年アメリカ
  • 原題Bernie
  • 監督リチャード・リンクレイター
  • 脚本リチャード・リンクレイター、スキップ・ホランズワース
  • 原作
  • 出演ジャック・ブラック、シャーリー・マクレーン、マシュー・マコノヒー、ブレイディ・コールマン、リチャード・ロビショー、リック・ダイアル、ブランドン・スミス、ラリー・ジャック・ドットソン
  • 声の出演
  • 制限G

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