DVD『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』
まずタイトルが人名だとは思わないワケですよ。パッと見で群像劇?コメディ?ロイヤル的なナニカを風刺しちゃう的なお話かな?っつって予習ナシで観たんですよ。そんで子どもたちが天才すぎるのに境遇がそれぞれ残念で複雑な心境になるんですよ。なにこれちっともコメディじゃないよねって思うわけですよ。でもやっぱ天才は逸脱っぷりもパねぇな!やることがいちいち振り切れてんな!とか思うんですよ。で諸悪の根源たる父親の名前がロイヤル。ねえよ!誰がそんな名前つけるんだよ!尊大が過ぎるだろ!家族と取り巻く人々がドタバタの末に少しだけハッピーになるというストーリー。ぜんぜん悪くないしストーリーだけで言えばありがちな気がしなくもないんだけど登場人物ひとりひとりが全部面白いのずるくない? ベンスティラーが妻の不幸がきっかけで変人になってしまったことは切ないけど、常に赤ジャージ、それも息子2人とオソロ、ついでに髪型も一緒、でもってビジネスパーソンとしては超一流、そして年中避難訓練してるなんて面白すぎでしょう。葬式で黒ジャージとか極めすぎですよ!
グウィネスパルトローもすごい。あっちこっちで結婚離婚を繰り返すって、それもそれで相当な才能だと思うw 傍目に見てもだけど、なにより本人が「うわぁクズ」って思ってるよなぁこの人生。真実(=さんざっぱらハチャメチャやってきたこと)を誰も知らないままでいる、というのはある意味不幸なのではないか。秘密にしておかなきゃいけない理由も当初はあったのかもしれないけど。いや喫煙がバレないのは謎。タバコの臭いってちょっとパタパタしたくらいじゃ消えないもん、少なくとも同居してたらバレると思うけどねぇ。
ルークウィルソンて調べたら今までにも観たことあるはずなんですけどあんまりというかあのその、記憶に残ってなくてごめんなさい。オーウェンウィルソンの実弟なんですね。言うてオーウェンもそんなに観てないしよく覚えてなかったんですごめんなさい。リッチーのキャラもなかなか変人ですね。恋が人を狂わすのは事実ですが、彼はどうも内に向かってしまうと見えて思い詰めてしまうんですなぁ。ある意味純粋、というのは兄チャスと似ているところなのかも。イーライもだいぶ変人ですよね。大人になってからの描写はほぼずっとラリってるのでアレですが、おそらくテネンバウム家に入り浸る時点で変人なので、やっぱ類は友を呼んでいるのだろうと。
母エセルもちゃんと天才でした。才能があり、理性的で、積極的かつ能動的に子どもたちのことも理解し信頼する、良い母ですよ。仕事も一流だし、ダメなとこいっこもないやん。こんな人、いるん? 是非幸せに暮らしていただきたいですね。ヘンリーさんは完全に尻に敷かれるはずですが、子どもたちは既に自立しているし父親の尊厳とか必要ないので、気ままにイチャイチャしたら良いと思いますね(笑)
そもそものロイヤルは法律学者?だったそうですが浮気や育児放棄は範疇でなかったっつーことですかね? まぁ、ともかく、いずれにしても、「孫たちと楽しく遊べたということ」は、人生のひとつの成功と言って良いでしょう。それで満足して冷静になれたのかもしれない。おかげで人生の再出発(再就職&離婚)に踏ん切りがつき、長男とも和解することができた・・・のかもしれない。そう言えば、終盤のシーンで消防隊のわんこをその場でもらっちゃうとかある?と思いながら、実はロイヤルには人を口説く才能があったのかもしれない、と気づいたり。なるほど。。
- 2001年アメリカ
- 原題The Royal Tenenbaums
- 監督ウェス・アンダーソン
- 脚本ウェス・アンダーソン、オーウェン・ウィルソン
- 原作
- 出演ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン、ベン・スティラー、グウィネス・パルトロー、ルーク・ウィルソン、オーウェン・ウィルソン、ダニー・グローヴァー、ビル・マーレイ、シーモア・カッセル、クマール・パラーナ、アイリーン・ゴロヴァイア、グラント・ローゼンマイヤー、ラリー・パイン、ジェニファー・ワクテル
- 声の出演
- 制限