劇場『哀愁しんでれら』
複雑な感情がわいてくる。不安で、怖くて、哀しくて、腹立たしくて、悩ましくて、どこか可愛らしくて、居ても立っても居られない。逃げたくても行くあてが無い、とすら言ってられないのよね、、、「母親なんだから」のくだりは、ほとんど呪詛ですよ。ナポレオンがどんだけ凄い奴だったかなんて関係ないでしょ。母親が居ない家庭で育った人は全員ろくでなしだとでも言うのか? 小春も大ちゃんもハナからズレてる。ズレてると私は思うけど、物語的にはナポレオンの言う通りになっちゃってると言わざるを得ない。小春は「良い母親」に囚われすぎだし、大ちゃんは母への反発心からの自己修復で相当ヤバめな自我を形成してしまっている感じ。語彙がまったく追いついてない気しかしないですごめんなさい。
とりあえず、子どもにウソはダメだ。100%ダメだ。約束を守らない=ウソです。ダメ。「内緒だよ」とか「ふたりの秘密だよ」とか、私も苦手でねぇ、だったらいいよもうそんなの教えてくれなくて・・・って思っちゃうんだけど。小春の場合は元の職業から考えてもナシじゃないですか。そっちでも問題視されてたのは実は子どものことを考えているようでいて分かってなかった・分かろうとしていなかった、という側面があったのかも。ヒカリに対しても、幼いように見えて男の子の気をひくために画策するほどの知恵があるんだから、「子どもだからこうしておけばいい」的な対処じゃなく、向き合い方がうまくできていればここまでにはならなかったのかも・・・と思いたい。
裏切りに対して、子どもは高確率で“仕返し”をしてくる。大人からすると思いつく限り残酷としか思えないよーなやつなんだよね、そういうのって。本人はすごく単純に「ギャフンと言わせたいだけ」なんだろうと思うけど・・・それが致命傷になっちゃうという。誤解が亀裂を生み、いずれ足元から崩れていくことに大人でさえ気づかない。。。そう言えばあの男子、いかにもモテそうな何かを醸していて良い存在感でしたね。メガネの女子も短い出番ながら素晴らしい目線でした。田中圭という人は、こういう極端な役が似合うんですかね。今まであんまり注目してなかったけど、向井理に見える角度もあったの面白い(笑
結末は本当に胸が痛い。ツラい。一瞬、この物語が事実を元にしたお話だったらどうしようと思ったけど、そもそも「なぜこの真面目な女性は、社会を震撼させる凶悪事件を起こしたのか。」っていうコピーがミスリードだよね。狡い。絵面的に問題作じゃねえのコレ?!っていう衝撃展開は、本当にあったことじゃなかったんだ。あんな光景は監督&脚本の人の頭の中にだけあったんだ。。。確実にヤベー奴だな。うん。ここ最近で一番オススメしにくい作品ですわ。
- 2021年日本
- 原題
- 監督渡部亮平
- 脚本渡部亮平
- 原作
- 出演土屋太鳳、田中圭、COCO、山田杏奈、ティーチャ、安藤輪子、金澤美穂、中村靖日、正名僕蔵、銀粉蝶、石橋凌
- 声の出演
- 制限