劇場『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』
とても良い。とても良かった。とても楽しかった。序盤の人物紹介およびアリバイ・動機探しのターンとか、名探偵が謎解きを語るシーンとか、ダルくなりがちな場面の作り方がすごく上手い。ころころ画が切り替わったりするけど、まったく混乱しないどころかワクワクが増すほどに奏功していてすごい。加えて豪華キャストに惜しみなく吠え面をかかせてしまっていて素晴らしい。この監督さんは実に肝が座っている。セット・小物・衣装の凝り様およびギャラ(=予算のぶっこみ方)といい、ほんとうに素晴らしい。昨今ダニエルクレイグさんは007とか渋めキャラのイメージがついてる感じだけど、こういうキャラもまったく違和感ないですね。こういう、と言っても“南部訛り”というやつがアメリカでどの程度ダサい位置付けなのか分からないから何とも言いづらいんですけど、、、身なりがオシャレなのは良いとして、もうちょっと、アメリカ人じゃなくても分かる何か、ちょっと、ね。強めの印象が欲しかったかなぁ的な。教養もあって言葉遣いも悪くないし、あんまりオッサンくさいオッサンにもなれないし。難しいね(笑)
キャラ変の妙と言えばクリスエヴァンスさんですが、確かにあのキャプテンとは真逆の放蕩息子になってましたよ。恥さらしだけど、バカじゃないんだな。だからこそ起こる事態なわけだけど・・・というのが分かると、ようやく怖くなってくる仕掛け。マルタのだいぼうけんもドキドキしたけど、ここだけならあんまりミステリーぽくないもんね。いやほんと、ひどいもんです。
差別とか移民問題とかそういう社会問題を考えるキッカケもありますが。やっぱり当事者になってみないと分からないことって多いよね。ふつーに生活してて、隣に移民が住んでいてその人が不法入国だったとしても、気づかなければ何も問題ないわけで。問題が起こって・問題に気づいて初めてどうするかってところなんだろうけど、まぁ分からないなりにも知識はあった方がイイよね。法律だから仕方ない、って言うか、法律を守らないから気に食わない、って言うかだけの違いのような気もしますが。
確実に言えることその1。「家族みたいなもの」は、どこまでいっても家族じゃない。
確実に言えることその2。お金でしか繋がれない奴は信じちゃいけない。
いずれにしても、おじいちゃんのような選択ができる人は稀ですね。そんな選択をするための元手だけ欲しい。するとは言ってない。
- 2019年アメリカ
- 原題Knives Out
- 監督ライアン・ジョンソン
- 脚本ライアン・ジョンソン
- 原作
- 出演ダニエル・クレイグ、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマス、ジェイミー・リー・カーティス、マイケル・シャノン、ドン・ジョンソン、トニ・コレット、レイキース・スタンフィールド、キャサリン・ラングフォード、ジェイデン・マーテル、フランク・オズ、リキ・リンドホーム、エディ・パターソン、K・カラン、ノア・セガン、クリストファー・プラマー
- 声の出演
- 制限