劇場『シラノ』
古い戯曲のリメイク、ってことで良いのかな。まったく知りませんでしたスミマセン・・1868年に作られたもので、これまで数えきれないほど舞台化映画化もされているのだとか。愛というテーマは普遍ですが、裏に“コンプレックス”が潜むとより引き込まれますね。シラノは、元は鼻の大きな醜男という設定のため、たいていはイケメン俳優が特殊メイクなりで「鼻」を装って演じていたそうです。ピーターディンクレイジさんが演じる場合は「小人症」が「鼻」に相当するわけで、かつ装う必要がないというリアルな心情をみることができるのでした。ロクサーヌ役のヘイリーベネットさん(肌の透明感がパない窓から差し込む光が透けてんじゃねえかと思うくらい)と共に舞台で同役で共演していたこともあり、実に繊細で、情感に溢れ、心揺さぶる圧巻の演技です。圧倒的に語彙力が追いついていない。
言ってしまうと、ピーターディンクレイジさんがすごくすごい作品、ってことです。信じられないくらいかっこよい。魅力、ぜんぶ出てます!的な。ピーターディンクレイジに浸ってください!的な。脇役でも存在感あるのに主役に据えちゃったらぜんぶ持ってっちまうんじゃねえべか。いや、持ってっちまったな、これは。。。
ただ、、、ミュージカルとしてはどうかな〜〜〜〜〜。絵面はそんなに面白くなかったのよね。大勢で踊ってるシーンとか見応えがあるっちゃあるけど、うわぁすごい!っていう感動はそんなに。歌はすごくいいと思うけど。クリスチャンが恋心を歌うシーンでは、一瞬、ボリウッドのダンスシーンを想起させられたりしましたが、なんつーか、ちょっと物足りないっつーか。あと歌ってるシーンで「画」が固まっちゃうのは、舞台ではアリかもしんないけど映画だとキツいよね。戦場で兵士たちが手紙を送るときにそれぞれ気持ちを歌うっていうシーン、あれなんとかならんかったんか。
でもすげー泣いた。泣けるぜ、これは。狂おしいほどの秘めた想いに頭をかきむしったことのある人はだいたいともだち。
- 2021年イギリス/アメリカ/カナダ
- 原題Cyrano
- 監督ジョー・ライト
- 脚本エリカ・シュミット
- 原作(原作戯曲)エドモン・ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック』
- 出演ピーター・ディンクレイジ、ヘイリー・ベネット、ケルヴィン・ハリソン・Jr、ベン・メンデルソーン
- 声の出演
- 制限