劇場『クーリエ:最高機密の運び屋』

冷戦の頃、というのはザックリわかるけど、キューバ危機というのはちゃんと知らなかったのでした。いやその、世界史の範疇で知ってると言える事柄がそもそも無いんですけども。赤点しかとったことなくてスミマセン。実話を元にした作品ということですがスパイなんて歴史の教科書に出てきませんからね。

ベネ様もメラーブさんも、説得力のありすぎる迫真の演技・・片やごく普通のセールスマンがすんごい緊張しながらセールストークをこなし、ほんの少しだけ動揺が見える振る舞い。片や政府高官でありながら心中穏やかでない、その佇まいと鬼気迫る視線。没頭させる演技とはこういうのを言うのだなぁ。終盤にはベネ様はひどく痩せこけ・・マジでなくCGであることを祈るくらいのお姿に変わり果て、壮絶さを物語っておられます。大変な役者ですよ。

ホントは、最後にグレヴィルがモスクワへ行かなくても本来の目的は達成されていたのですよね。純粋に友情のためにオレグを助けたくて行ったのですよね?たぶん、行っても行かなくてもオレグの運命は変わらなかった?そう考えちゃうとちょっとツラいとこあります。CIAもMI6もがんばったのでしょうけど、KGBがやっぱり怖かった。

60年代のCIAだかMI6だかの高官に女性がいるワケないだろ〜と思ってましたが、実際ここら辺の関係者は全員男性だったそうで、架空の人物として女性を登場させたとのこと。“だから女性の観客から共感を得られた”か?っつーと、正直意味が分からない。要る?それ。最初らへんで「女が口出しするな」くらい言われててもおかしくないと思ったのはアタシだけですか?「4分前のなんとかかんとか」を突然言い出したときの隣のオジサンの顔も、表情だけで済むとはとても思えない。事実を述べることと共感を得ることは別ですよね。そもそも今作はエンタメを捨ててシリアスに鬼振りしてるはずで、真実に迫る方が大事じゃなかったのかなぁ。まぁグレヴィルとオレグの友情という軸がしっかりしてるから、大勢に影響はないのかもしんないけど。これさ、「絵面が男ばっかで地味だから女も入れて華やかにしようよ」とか言っちゃってるのと何が違うんでしょうね?
  • 2020年イギリス/アメリカ
  • 原題The Courier
  • 監督ドミニク・クック
  • 脚本トム・オコナー
  • 原作
  • 出演ベネディクト・カンバーバッチ、メラーブ・ニニッゼ、レイチェル・ブロズナハン、ジェシー・バックリー、アンガス・ライト
  • 声の出演
  • 制限

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