DVD『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』
シャーロックホームズに思い入れのある人だったら、もっと感慨深く観られるんじゃないかと思ふ。ホームズと言えばスタイリッシュにジェントルにカッコよく活躍していた様が思い浮かぶわけですが(ロバートダウニーJrみたいな格闘派は一旦忘れましょう)、サー・イアンマッケランの「現役姿」も凛として、いかにも名探偵然としていて(帽子とパイプの如何によらず)、とてもカッコよいです。こういう歳の取り方をしたい。それが引退して田舎に引きこもり物忘れも激しくなると、こうも変わるのか・・・自信の喪失とは恐ろしいものです。何かにつけて"思い出せない"こともツラいし、(一時的に)忘れてしまっていることを「知らない」と言ってしまうことで周りを傷つけてしまうこともツラい。変わり果てた姿、と言っても過言ではない有様に胸が締め付けられます。
ロジャー少年が救いになっていました。孤独であることは仕方なくても、話し相手はやっぱり欲しい。できれば自分を疎ましく思わないでいてくれる相手。"あとは人生を終えるだけ"だったとしても、終わらないうちは生きなければならない。生きるとなれば誰かしら関わるし、その誰もがツラくない方がいい。
そのための知識も経験も培ってきたはずなのだから、年寄りほどうまく周りと関わってツラくないように生きられるんじゃないかと思わなくもないんですけどね。歳を取れば取るほど周りがツラくなるパターンが少なくないの、なんででしょうね。なんなんでしょうね。いやぁもう、ホームズ最後の事件に思いを馳せるよりも我が身に降りかかるかもしれない介護の世界(=地獄もしくは悪夢)を予見するばかりでとにかく戦々恐々としてしまい、マンロー夫人に感情移入しまくりなのでした。いやぁもう。私だって息子が救急車騒ぎなんつったら鬼の形相にもなるわ。なるに決まってるわ。そして以下自粛。
- 2015年イギリス
- 原題Mr.Holms
- 監督ビル・コンドン
- 脚本ジェフリー・ハッチャー
- 原作ミッチ・カリン
- 出演イアン・マッケラン、ローラ・リニー、真田広之、マイロ・パーカー、ハティ・モラハン、パトリック・ケネディ、ニコラス・ロウ、ロジャー・アラム、フィル・デイヴィス、フランシス・デ・ラ・トゥーア、ジョン・セッションズ
- 声の出演
- 制限