DVD『ゾッキ』

シュールですねぇ。こういう、ぜんぜん意味なさげな感じって嫌いじゃないんですけど・・・本当に中身がなかったらとても観ていられないんですよね。序盤はだいぶキツかった(笑) 大スクリーンで観る必要があんまり無い、ダルダルの部屋着で呑みながら観るのにちょうどいい。

伴くんが良かった。最初に登場した女性が最後にやっと出てきて、これは・・伏線・・とまでは言わねえな・・・と白目になっちゃったけど、伴くんは良かった。さすがに写真変えたらわかるだろ!ってツッコんだけど、もうこの頃の伴くんはいろいろ大丈夫でマキタくんとはそういう設定で遊べばいいのかなって感じなのかなって思った。そんなアホな設定でも、過去に本当に彼を救っていたのだとしたら、それはお互いにその設定を墓まで持っていけば良いんだと思う。その空気感が良かった。友情ってのはそういう成分が必要だよね。「じゃあ今度は俺がパンツ売ってもらわないと」に対して「言って良いことと悪いことがあるぞ」なのは、マキタくんのうっかりでもあるけど、伴くんにとってソレは本田さんのソレが該当するし、そもそも伴くんに冗談が通じないってのもあるんでしょうな(笑)

あとはよくわかんねえな!!!(笑) 松田龍平サンはもうちょっとスペクタクルがあっても良かった、具体的にはもう少し遠くまで、せめて隣県まで行けたらよかった(笑) 出会う人みんなイイ人(かつ大物)っていう優しい(ある意味怖い)世界も面白かったけど、もうちょっとスペクタクルが(笑) 福くんはただひたすらシュールで盛り上がりに欠ける。最後に衝撃的なことがあったような感じだったけど何だったの?

父さんとマサルの話はちょっと次元が違ってましたね。しっかりオバケ出ちゃってるじゃないですか。でマサルは松田龍平サンなのか福くんなのか???と思ってたら別人だし、こんな後半になってから初登場するとか構成どうなってんの?チョイ役がすぎますよ! あの家で暮らし続けて(母親がどうしたかわからんけど)、サンドバッグもそのまんま吊るしっぱなし、っていう異様さをもうちょっと描いてあげてもよかったんちゃう。道場の人に至っては、最後まで顔がアップになんなくて誰だかわかんなかったし(汗)

原作は読んでません。漫画なのね。軽くggったところ全体的にテーマが一貫していないとか、とっ散らかって散漫だとか、まぁまぁ言われてますが正にその通りだ(笑) 冒頭の石鹸の話がどこにも絡まないなんて、わざわざ足しておきながら、さすがに何とかしろって思わんでもない。もともとが短編な作品たちをギュッと集めて、すれ違えそうなところをすれ違いさせてるだけなのね。無理に絡ませないで普通にオムニバス形式にしちゃって良かったんじゃないかな〜って、確かにアタシも思うわ。


あ。『裏ゾッキ』なるものもあるらしいですね。そのうち観ますたぶんきっと。






【追記】『裏ゾッキ』みました。(2022.2.3)

マルっと1本分の映画くらいボリュームあるけど、半分はメイキング、半分は蒲郡市のPRって感じ? 監督と役者の立ち居振る舞いはまぁそうだよね〜くらい(そして伴くんのエピソードがやはり一番重かったよう)ですが、やっぱ市民を盛大に巻き込んだプロジェクトという成り立ちがすごい。斎藤工が言っちゃってたけど、「これだけ大変なヒトモノカネが投入されるのに、撮ってるものが“ちょっとコンビニ行ってくる”的なやつなのに」って、まさにアタシも思ったよ(笑) どう考えてもけっこうな税金が使われてるワケだけど、その出どころの市民たちが全員映画ファンかっつったらそんなワケないもんね。それもこんなニッチでシュールで、ハテナマークがいっぱい浮かんじゃう作品をね。まぁよくやってくれましたなぁ、と言わざるを得ない。なにしろ市内には映画館が無いってんだからね。映画を誘致する前にまず映画館作ったら良いのに。

文化レベルは民度と相関があると思ってます。日常しか知らない人生は、世界が狭くてもったいないと思う。農業体験とか牛の乳搾り体験をしてから食品ロスに関心を持つようになるみたいな、そういうやつです。興味がない分野のことってなかなか気にかけられないですからね。映画を知り、そこで働く人たちを知ることで初めて尊重する気持ちが生まれるってことですよ。撮影の邪魔をしないとかそういうやつね。ここで出てくる“報道関係”とやらは別次元の生き物らしいので除外しますが。

つまりいろいろな文化に触れる機会がある生活を送っていると、必然的に「気にかけることができる」ことが増えるということです。だから都会は色んな意味で恵まれているなぁと常々思っているワケで。なので私はいろいろな文化を垣間見る機会を得る方法として映画を観ることはとても有効な手段だと思ってます。まぁ、ジャンルは偏ってっかもしんねえけど。

ともかくコロナ禍のしんどさの側面をまたひとつ見たわね。役者さんはマスクで演技ってワケにイカンし、それなりの人が集まってしまう現場でもあるし、やっぱ大変なプロジェクトでしたよね。予定通りにいかないというのはツライよねぇ。ホントお疲れさまでした。そしてここまで書いても、蒲郡に行ってみたいと思うには至っておりません。思うのは自由だ。感想は自由なのだ。
  • 2020年日本
  • 原題
  • 監督竹中直人、山田孝之、齊藤工
  • 脚本倉持裕
  • 原作大橋裕之『ゾッキA』『ゾッキB』
  • 出演吉岡里帆、鈴木福、満島真之介、柳ゆり菜、南沙良、安藤政信、ピエール瀧、森優作、九条ジョー、木竜麻生、倖田來未、竹原ピストル、潤浩、松井玲奈、渡辺佑太朗、石坂浩二、松田龍平、國村隼
  • 声の出演
  • 制限G

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