Disney+『哀れなるものたち』
あえて言おう、年越し映画には向いていないと。だが興味深い作品ではありました。ウィレムデフォーが完全にマッドサイエンティストで酷いです。鶏+豚とか、鴨?+山羊?みたいな悪魔合体を繰り返し、挙げ句の果てにフレッシュな死体から人体実験と称し蘇生を試みてしまうという冒涜を平然と行っている。古今東西数多の映像作品の中で数限りない非人道的所業が描かれてきているでしょうけど、まぁその中ではマイルドな方かもしんないね。少なくともベラに対しては、ゴッドは愛を持って接していたように見えます。
体は大人で中身は赤ちゃんだったので当然初めは幼稚な言動におぼつかない足取りで動き回っていたベラ。徐々に言葉を覚え様々なものに興味を持ち、ついに屋敷の外の世界へ飛び出してゆく。いやぁ、性の衝動ってほんとパワフルですよね(笑)あとエマストーンのスタイルが良過ぎる。序盤から中盤までわりと奇抜な格好をしていることが多いのだけど、なぜか生足を大胆に見せているんですよ。寒そうでねぇ(笑)伸び続ける髪もキレイすぎてお人形みたいです。ちゃんと頭でっかちで騙されやすい中高生みたいな時期も経て、確実に大人へと変貌してゆく。
そして遊び人の極みたるダンカンを演じるマークラファロがこれまた最高に気持ち悪い下衆男でね〜最高なのよ(笑)ここいら辺は思いっきりR18なのでご注意いただければと思いますが、ベラには「娼館で働くこと」をして社会的に引け目を感じしめるような価値観が存在しないので、非常に合理的な時間の使い方+社会性の学び方+お金の稼ぎ方を遂行しているんですよね。実に賢い。女がこういうふうに動いてるとさ、男って絶対「そんなことは無駄だ」とか「今に痛い目を見る」とか「戻ってこないと幸せになれない」とか言って邪魔するんだけど、ただのかまってちゃんなのよね(笑) 落ちぶれて立ち直れないメタボ男(ダンカン)をはじめ、ベラを哀れに見ていた者たちと立場が逆転していく。痛快ですよ。
最後、将軍の人を山羊にしちゃったのは誰なんでしょうね・・・然るべき裁きとは思わないっつーか、アタシなら顔も見たくないって思うトコですけどね(笑)
- 2023年イギリス
- 原題Poor Things
- 監督ヨルゴス・ランティモス
- 脚本トニー・マクナマラ
- 原作アラスター・グレイ『哀れなるものたち』(早川書房刊)
- 出演エマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォー、ラミー・ユセフ、ジェロッド・カーマイケル、クリストファー・アボット、キャスリン・ハンター、ハンナ・シグラ、マーガレット・クアリー、ヴィッキー・ペッパーダイン、スージー・ベンバ、トム・スタートン、イェルスキン・フェンドリックス
- 声の出演
- 制限