DVD『スリー・ビルボード』
重たそうな話なんだろなーと思いながら観たのですが、なんかいろいろ話が噛み合ってないまま突き進んでいて追いつくのが地味に大変で、思った以上に疲れました。誰しもが、やることなすこと当てが外れてしまっているというか。確かに3つの看板は動かなかった事態を動かすのに良い手だった。けどその本人の真意は自分でもブレているというか答えが見つかっていない有様で。ミルドレッドのツラさはわかる。取り返しのつかないことを言ってしまった罪悪感は、誰に許されても、たとえ犯人が見つかって正しく裁かれても、おそらく消えないのだろう。消すことができないのだろう。それでも前を向いて生きていかないといけない。つらい。せめて息子が味方でいてくれたら、と思いつつも彼女は生来ああいう我の強い性格なんだろうなぁ・・友達少なそう・・なんで結婚できたんだろう・・とか思えちゃうので難しいですハイ。ああ、えっとね、アタシも「なんで結婚できたんだろう」って思われがちな性格と言えなくもないことは自覚していますが、相手のキャラクターがぜんぜん違うので条件が違うと思うんですよね(笑)
ディクソン君が期待以上のトンデモキャラでほんと見てて飽きないんだけど、友達にはなりたくないですね(汗) どうしようもないおバカ、短絡的で粗暴、超絶マザコン、彼女いない歴=年齢(たぶん)、でも果てしなく素直。敬愛する署長サンの言葉ならぜんぶ鵜呑みにして真面目にというかマトモに考えて行動するようになってしまうという豹変ぶり。まさかこいつが?事件解決!しちゃうの〜〜〜?!?! ってトコは流石にテンション上がりましたよね! 肩透かしでしたけどね!
ミルドレッドとディクソンをある意味救うことになるウィロビーさんですが、彼自身はどちらかと言うと救われたのではなく逃げてしまったのだと思えます。彼の言い分(言い訳)は間違っていない。若い妻を我が身の看病に明け暮れる生活へ追いやりたくない気持ちも分かる。それでも、そりゃあ、ないよ。キリスト教的にも自殺は禁忌じゃなかったっけ。それにつけてもウディハレルソンなのにあんなマトモで誠実で家族愛いっぱいで町の人たちみんなに慕われて?みたいなキャラなのがなんとも不思議だったのは何故なんだってばよ。ともあれ、あのウエストサイズはビョーキしててもおかしくない説得力を感じてしまうのでどうか今後もお元気で活躍していただきたく。
不動産屋のレッド君も気の毒でしたね。彼は普通に優しい人じゃないですか。なんで窓から放り投げられなきゃいけなかったんだ。ディクソンが馬鹿すぎたせいですか?やっぱそうかー。オレンジジュースのストローをこっちに向けたところも、ディクソン目線だもんだからガチでグッとくる。ここのディクソンは幾分馬鹿じゃないから、ちゃんとグッとくる。看板業者の彼もなんだかんだいい人。
実際に起こったあちこちの事件をオマージュしまくったエピソードを盛り込みまくっているようです。ちゃんとは知らない・覚えてないけど、何かで聞きかじったニュースを思い出した・・というタイミングが何度かありました。なので訴えかけるモノはたくさんあるんだけど、でも万事塞翁が馬みたいな雰囲気になっちゃってるような気がしないでもない。コメディタッチな面もありますし。究極の結論として、「それでも前を向いて生きていく」ってことなのかな。
エンディング、未だ悩みながら旅に出ちゃった的な2人を中途半端に写して終わる。ミズーリからアイダホまで、車で丸一日だそうですよ。勢いに任せて行っちゃえ、なくもないけどアタシなら子供を置いていきなりは無理だなぁ...だって息子は学校へ毎日車で送ってってるでしょ。学校が休みならアレだけど行って帰ってくること考えたら最低2日間の子供の世話を考えなきゃいけないし、まぁたぶん最短どころか最長2日で行ってすぐ帰ってくる感じになるだろうことは想像できるけどともかくその間家のことは放ったらかしになるわけですよ。尤もヘイズ家より面倒なのはディクソンの母親だろうしきっと隣近所に留まらず警察署へ乗り込んで大騒ぎする可能性まで見えるし、なんだかんだ心配になっちゃう人たちでしたよ。なんだこれ泣くわ。
- 2017年イギリス/アメリカ
- 原題Three Billboards Outside Ebbing, Missouri
- 監督マーティン・マクドナー
- 脚本マーティン・マクドナー
- 原作
- 出演フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、アビー・コーニッシュ、ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ルーカス・ヘッジズ、ケリー・コンドン、ダレル・ブリット=ギブソン、ジェリコ・イヴァネク、キャスリン・ニュートン、サマラ・ウィーヴィング、クラーク・ピータース、サンディ・マーティン、アマンダ・ウォーレン、マラヤ・リヴェラ・ドリュー、ブレンダン・セクストン三世、ジェリー・ウィンセット
- 声の出演
- 制限