劇場『最後の決闘裁判』

すごく不穏でかっこよい予告にしてやられましたね。いや、ツラい。3人の視点から同じ時間軸のお話を3回繰り返して見せているのだけど、ぜんぜんまったく印象が異なるのね。主観ってすげーーーー。それもカルージュとル・グリの思い込みと言うか都合の良すぎる顛末が実にえぐい。まぁ誰の脳でも出来事を都合よく整理して記憶する、という処理は行われているのでしょうけど、ここまで残念なことになってるとやっぱりマルグリットかわいそう。

とは言え1300年代でしたっけ、そんだけ昔なら女の人権なんて存在しているはずがないので、強姦なんてまじ日常茶飯事だったと言われても不思議には思わないし、訴えを聞いてもらえてる時点でびっくりですらある。子どもができたら男のおかげ、できなければ女のせい、男の子を産まなければポンコツ扱い、なんてのも当たり前だっただろうし、今だからカルージュってば最悪!と思うけど当時の感覚であれば珍しい話ではなかっただろうし、むしろそっちが“普通”だったかもです。馬鹿・浅慮・粗暴・虚栄・自己中はさておき。いや自己中はル・グリもベンアフも一緒か。

三者三様に違う演技を見せてくれる有様がとても面白いです。大筋がわかってる話を3回繰り返すので、演技が面白くなかったらこの作品終わってるところですが、ものすごくものすごいです(語彙力)。尺はめっちゃ長いけど、がっつりずっしり観た感あるのでお得です大丈夫。クライマックスたる最後の決闘シーンへの流れもヒリヒリしててたいへん良いですね。手汗もじゃんじゃん出ます。出ました。決闘に至る理由はとても残念だけど、決闘自体の迫力はすっごくすごいです(語彙力!)。馬の、鎧の、重厚感。ほとばしる血と汗と土。

ベンアフレック、髭面なのでケツアゴがみれない。残念(?) それにつけてもサイテーサイアクなキャラがすげー似合ってて草枯れる。

なお『羅生門』は観ていないのですが、どこのレビューをみても「『羅生門』スタイルですね」と語られてしまっているのでどうにかして観てみたいです(汗
  • 2021年アメリカ
  • 原題The Last Duel
  • 監督リドリー・スコット
  • 脚本ニコール・ホロフセナー、ベン・アフレック、マット・デイモン
  • 原作エリック・ジェイガー『決闘裁判 世界を変えた法廷スキャンダル』
  • 出演マット・デイモン、アダム・ドライヴァー、ジョディ・カマー、ベン・アフレック、ハリエット・ウォルター、ナサニエル・パーカー、サム・ヘイゼルダイン、マイケル・マケルハットン、アレックス・ロウザー、マートン・ソーカス
  • 声の出演
  • 制限PG12

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